こういった症状があれば、「歯周病」の疑いがあります。歯周病は日本人が歯を失う原因の第一位であり、自覚症状がほとんどないため知らないうちに進行することが多い病気です。もし痛みなどの自覚症状があるなら、それはかなり進行している証拠。気になる症状があったら、早めに受診しましょう。
歯周病は、お口の中のプラーク(歯垢)に棲み着いた歯周病菌が毒素を出し、歯ぐきに炎症を起こしていく病気です。放っておくと、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)が深まり、顎の骨が溶けて歯がグラグラするようになって、最終的には歯が抜け落ちてしまうのです。
歯周病は、お口の中だけの病気ではありません。血液などを介して体内に入り込むと、さまざまな疾患や問題を引き起こす可能性もあります。たとえば、糖尿病や心臓病、肺炎などの病気の原因になるほか、妊婦さんの場合は低体重児の出産や早産につながるおそれもあるのです。
軽度
歯ぐきに炎症が起きはじめ、赤くなってきます。ブラッシングの際に少量の血が出ることがあります。歯周ポケットの深さは2~4mmです。
中等度
歯ぐきが赤く腫れてきて、血が出るのはもちろん、膿も出てくるため口臭が強くなります。また、顎の骨も溶けはじめて、見た目では歯が長くなったように感じます。歯周ポケットの深さは4~6mmです。
重度
歯周病菌が顎の骨を半分以上溶かしてしまい、歯は支えをなくしてグラグラになります。歯ぐきの腫れや出血もひどく、常時口臭が出るようになります。歯周ポケットの深さは6mm以上です。
歯周病が進行すると、最終的には歯が抜け落ちてしまう可能性があります。歯を失わないためにも、歯科医とともに予防に取り組みましょう。
定期検診
定期検診なら、なかなか自分では気づきにくい初期の歯周病でも、自覚症状がない段階での早期発見ができます。早めに見つけて早期治療を行えば、治療期間・費用負担・身体的疲労などが、進行した段階での治療よりも少なくすみます。
スケーリング
毎日のブラッシングでは落としきれない、歯の裏側や歯と歯の間、歯周ポケットのプラークや歯石などの汚れを、専用の器具を用いて除去します。
詰めもの・被せものの交換
歯の治療の際に使われる詰めもの、被せものがずれていたり、隙間があいていたりすると汚れがたまり、歯周病の原因になる可能性があります。ぴったりの詰めもの・被せものに交換することによって、歯周病を予防できます。
ブラッシング指導
ご自宅でもできる一番身近な予防方法が「ブラッシング(歯磨き)」です。歯磨きは、ご自身の歯並びやお口の状態に合わせて行わなければ効果的にきれいにはできません。少しでも磨き残しがなくなるように、当院では常勤の歯科衛生士によるブラッシング指導を行っています。
歯周病が進行すると、歯ぐきがやせて顎の骨が溶け出してしまいます。骨よりも周りの肉が再生するスピードが早いため、そのままにしておくと、もともと骨があった箇所に肉が入り込んで骨が再生できなくなってしまいます。
溶けた骨を効果的に再生させる治療法としては、外科手術をともなう「GTR法」があります。歯周組織を回復させる再生療法で、メンブレンと呼ばれる特殊な保護膜を貼ることで骨を再生させるためのスペースをつくって再生を促します。メンブレンは再生治療だけでなく、人工血管や人工心膜、人工腹膜などにも使われている、安全な素材です。
あまりに重度に進行した歯周病の場合、GTR法による治療が困難な場合もあります。その場合は、当院にて別の方法をご提案させていただきます。どんな治療法を採用するにしても、まずは患者様としっかりと話をして進めていきます。お気軽にご相談ください。